売出

売出とは

売出とは、既に発行された有価証券を不特定多数(50名以上)の投資家に対して購入を勧誘することを指します。例えば、企業がIPOを行う場合にその大株主やベンチャーキャピタルなどが所有する株を不特定多数の投資家に売却する場合などを売出といいます。

売出と公募増資との違いは

売出は、不特定多数の投資家に株の購入を勧誘するという点で、公募増資と比較されることがあります。この2つの大きな違いは、資金調達の有無になります。公募増資の場合は、新しく発行する株を投資家に購入してもらうことになるため、企業は資金調達を行うことができます。しかしながら、売出の場合、既に発行された株を投資家に購入してもらうことになるため、その株を売却して得た資金は企業ではなく、その株を保有していた大株主やベンチャーキャピタルになります。

売出による株価への影響は?

こうした違いによって、株価に与える影響も異なってきます。公募増資の場合、企業は新たな資金を手にすることができるため、その資金を元手にさらなる成長のための投資を行うことができます。それゆえに、公募増資の場合、新たに株を発行することによる1株あたり利益(EPS)の希薄化という懸念がありますが、株価が上昇していく可能性も大いにあります。しかし、売出の場合、企業は資金を何一つ手にすることができないにもかかわらず、株式市場にはその企業の株がこれまで以上に流通することになります。つまり、売出の場合、需要が変わらないにもかかわらず供給量が増加するため、需要と供給の関係から株価が低下することになります。

売出への影響は冷静に見極めることが重要

もし、ある企業が売出を行うというニュースを見たら、その企業の発行済み株式数の何%程度の株が売りに出されたのかを冷静に分析する必要があります。売出は先述したように株価に対してネガティブな影響を与えると一般的に考えられているため、売出が行われるというニュースが発表された場合、株価が低下する可能性が高いと言えます。しかしながら、時として投資家はこうしたニュースに対して過剰に反応してしまうことがあります。例えば、売出が行われるというニュースが発表され、その企業の株価が10%下落したけれども、よくよく売出の株数を見れば発行済み株式数の1%分しか売りに出されていないという場合を考えてみてください。この場合、売出によって増えた株は1%しかないため、需給関係の悪化にはそれほど大きな影響を実質的には与えません。それにもかかわらず、株価が10%も低下しているというのは、過剰な反応である可能性が高いと言えるでしょう。それゆえ、長期的にはこの一時的な下落が調整されて次第に適正な株価まで上昇していく可能性も十分にあります。このように、ニュースの表面だけを見て投資を行うのではなく、実際に自分の頭で冷静に株価への影響を考えて投資を行うことが重要です。

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