ロックアップ

ロックアップとは

IPO(新規公開株)を売買するうえで、必ず意識しておきたいのが「ロックアップ」。IPOには過去の株価推移がなく、目標株価や下値メドが意識しづらいため、需給をより注視したトレードを行うことが必要となってきます。

ロックアップとは、IPOを上場前から持っていた株主が一定期間その株を売却できない制度のことを指します。「lock」という文字のイメージ通りの意味ですよね。
新規上場することによりその会社の株はより価値を持つことが予想されるわけですが、そこで大きな売りが出て需給の悪化や株価の大幅下落を避けるために存在しているシステムです。

そもそも株式会社というものは、上場前にも株式を発行しているから株式会社なのです。証券取引所に新規上場することによって我々個人投資家もその会社の株式を売買することに出来るようになりますが、上場前には会社関係者やベンチャーキャピタルが同株式を保有しています。IPOの売買で儲けている個人投資家をよく目にしますが、それよりも大きな利益を出しているのが上場前からの株主というわけです。

ロックアップは一定期間の経過、または株価が公開価格をある程度上回ると解除されます。期間は一般的には90日や180日ほど、株価は公開価格の1.5倍を上回るとロックアップが解けることが多いですが、その基準は会社によってまちまちです。上場前の目論見書をチェックするとロックアップのほか、財務データや事業内容など、その会社の情報を見ることが出来ますから、IPOをトレードする際は必ず目を通しておきたいですね。

IPOでロックアップがかかっているかは必ずチェック

初値が公開価格を上回りやすく、地合いによっては非常に多くの投資家の注目を集めるIPO。初値売りをするだけで利益を出せることも多いのですが、ロックアップがかかっていないと上場前から株を保有していたVC等の大株主から大きな売りが出ることもあり、注意が必要です。

この銘柄は公開価格を2倍近く上回る初値をつけたものの、寄り高となりその後は売りに押される展開に。この日の引け後にはVCが売り出しを行ったことが主要株主異動報告書から確認されました。

上記はロックアップ解除による株価下落の例ですが、VCや大株主の売りが出ても、需給面で買いが上回ると上昇相場となる銘柄も存在します。
浮動株数や公募株数、VCやストックオプションなどの総合的な面から買いか売りかを判断する必要があるでしょう。

この銘柄は公開価格を上回り、その後ストップ高に。その後何度か大きな売りが観測されるも、引けには再びストップで初日を終了しました。後から場中に出ていたまとまった売りはVCであったことが判明したのですが、その売りを上回る買い需要が出ていたことが分かるかと思います。

ロックアップやSOの売り需要を意識したトレードを行おう

IPOを売買する際に意識するポイントとして重要なのが、今まで見てきた「ロックアップ」と「SO」です。SOとはストックオプションのことで、その会社の社員が安い価格で自分の企業の株を手に入れられることを指します。IPOの場合は上場前に報酬の代わりにSOを与え、将来会社の価値が上がった時に利益が出るようなインセンティブとしていることが多いです。
当然SOもロックアップと同じく売り需要となりますから、IPOをトレードする際にはチェックしておきたいポイントです。ロックアップ、VC、SOの有無を調べておくことは重要で、こういった売り需要が見られるIPOには手を出さない、というルールを設けている人も多く存在します。

が、逆にこういった潜在的な売り材料を利用して利益を出す方法もあります。
ロックアップ解除によるVCの売りや、SOの売りが出たあとに買いを入れるというのがそのひとつ。最初に例に挙げた銘柄は一貫して下落トレンドとなってはいますが、大陽線をつけている日も上場して日が浅い間は何度かあることが確認できますよね。

ローソク足の実体が小さくなり、出来高も激減してしまった後はあまり期待することが出来ないのですが、IPOは資金の向い先となることが多く、短期的に利ざやを稼ぐのに向いている銘柄であると言えます。上記の例の場合はレンジ下限に近付いたら指値、というトレードを行っていれば上手く上昇の波に乗れていたことが分かりますよね。

もう一つは売り需要があることを見越してショート(空売り)からポジションをとる方法です。ただ、値動きの荒いIPOでのショートはやや難易度が高いので注意が必要です。

クセが強く、需給面で売買されやすいのがIPOですが、そういった銘柄を上手く観察し、予測と検証を繰り替えしていけば、セカンダリー投資であっても利益を出すことは十分可能であると言えるでしょう。

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